理事長紹介・スローガン

理事長所信

 

はじめに

 1972年、「自然と歴史と人間との調和~つくしは一つ」の設立スローガンの元、一般社団法人つくし青年会議所(以下 つくし JC )は設立した。それから52年、筑紫地区が自然と歴史と人間とが調和したまちであるために、そして明るい豊かな社会の実現に向け、日々考え、行動するという歴史を紡いできた。

 つくし JC の運動の最たる例である九州国立博物館の誘致運動は、自然と歴史と人間とが調和するまちへの一助となり、多くの市民が関わった歴史を持つ。その過程において先輩諸氏が行ってきたのは、まだ見ぬ国立博物館のある筑紫地区の景色を見るという一つの目的に向かって、様々な事業や調査で視野を広げ、新たな経験を率先して積んでいった。そして、活動を通してその経験を活かし多くの市民の共感と協力を生み、運動を先導していったことだった。

 今を生きている私たちは地域に属する青年経済人として先導する役割を果たせているだろうか。 2023 年度のコロナウィルス感染症の収束にともない今一度、私たちが歩みを止めず、より地域の先導者となるための活動を展開していきたい。

私たちを取り巻く現状

 現在、私たちを取り巻く状況は刻一刻と変化している。経済の浮き沈みや世界各地で起きる紛争、そして技術の革新は度々起こり、加速度的に高まっている。技術革新とAI技術の進化による情報収集と思考の容易化といった側面がある一方、新型コロナウィルス感染症の蔓延、ロシアウクライナ間の戦争に端を発し混迷する世界情勢、それに伴う経済活動の激変など、外的要因は大きく変化している。また、地球温暖化を中心とした環境問題は世界のトレンドとなり、カーボンニュートラルに向けた行動を強く求められている。

 私たちの地域とその周辺に目を向けると、隣接する福岡市内において天神ビッグバン・博多コネクティッドに代表される再開発がすでに実行段階に移り、またJCの全国大会も含めて大規模大会が毎年のように行われるなど、吸引力が更に高まっている。インバウンド需要並びに国内観光客が戻ってくるなど、観光側面においても好循環が予測される。筑紫地区では、人口面において、2025年以降の断面において減少局面に移行すると試算され、住宅開発は断続的に行われているが旧来の住宅地が年数を経過し、高齢化の進行も否めない。また、開発面においては下大利までの西鉄の高架化が完了し、その高架下利用が進んでいるが、地区内の明確な大規模開発は停滞している状況である。

つくしJCの立ち位置

 世界、社会、そして地域が変容していく中 、今のつくしJCは2021年につくしVISION 2030において「経済の担い手たちが持続的に新しい価値を生み出す地域」という、新たな筑紫地区の未来を見据え、50周年運動方針において「新しい地域経済をデザインする」という つくしJCが進むべき道を定めた。2023年は中期ビジョンを策定し、まちづくりの当事者が増えている筑紫地区を近い将来に据え、まち・ひと・しごとの3つのアプローチでの運動・活動を展開してきた。

 つくしJCが現在培ってきていることは、ビジョンを見据えて事業を中心に「考える」だけでなく、自分たちで「行動」できることである。考えるだけ、行動するだけ、なら他でもできるが、両立をすることで、つくしJCが立ち位置を得ていると考えている。より地域に必要とされる団体となるために、考えること、行動すること双方を高めていこう。

先導する者として必要なこと

 地域や外部の状況とつくしJCの立ち位置を考えれば、私たちが地域を先導する者になるために必要なことは明白である。ネットによる情報収集が主となり、またAIによる回答自動生成技術が発達して私たちは簡単に情報を手に入れられる時代。その情報の正誤をしっかりと見抜き、必要な情報として活用する能力を身に着けることが重要である。

 その能力を身につけ、思い描いた未来へ先導するためには未知の経験を積み、視野を広げて自身、そして組織の知見とすること。そして、その知見を活用しながら率先して行動する力をメンバー全員で高めていきたい。

 私たちにとっての未知の経験は、筑紫地区というフィールドにも多く存在するし、活動の根源であるJCというフィールドには経験の機会が 無数に転がっている。JCで得られる経験を、自己やつくしJCの広がった視野としてまちに活かす。共に多くの物事を経験し、その経験を地域に活かす行動をやり遂げる先導者となろう。

教養ある健全な経営者が地域を創るために

 2019年に私たちは対内ブランディングとして「教養ある健全な経営者を育成する団体」であると定めた。教養ある健全な経営者となることも私たちを先導者として回りに認識してもらう要素となる。教養ある健全な経営者であるために、私たちは社会人としての素養はもちろん経営者としての素養、幅広い視野と見識を身に着けていくことが重要である。JCに取り組んでいればLOMの中、そして出向と2つの視点で得られるため、どちらも積極的に関与していってほしい。

 ~LOMの中で学ぶ~

 つくしJCという組織において、様々なシステムが存在するが、その意義を考えて取り組むことは、教養ある健全な経営者になる一助となる。それだけでなく、メンバー全員が様々な立場を持つJCでは、皆がそれぞれ異なったスキルを持っている。各々の良い部分を集めて、お互いに高め合うこともできるため、積極的に行動していこう。また、1人より同じ意思を持つ多くのメンバーで学び、共有することで、効果的な学びを得ること出来る。皆が同じように持つべき経営をするために必要な素養を得られるような機会を得ていこう。

 ~出向して学ぶ~

 出向はJCの活用法を知るいい機会となる。それは、JCという組織のネットワークだけでなくカウンターパートの作り方や、地域の枠を越え、日本国内、国外を含めた人脈づくりの面で、大きく自分を成長できる機会となる。更に出向のメリットはLOMだけでなく地域を移動していくため、時間の使い方を学ぶことになる。また、今の自分の持つ力をいかに発揮できるかということを考えるし、そして自分の立ち位置が分かるいい機会となる。

 出向を出すLOMとっても、今まで持っていなかった情報を継続的に得て、知見を広められるというメリットが存在する。ましてや、個々の力がLOMの力になるため、出向により個々の力が高まることが、LOMとしての力を高めることになるから、是非とも出向を積極的に行って、その学びをLOMに持ち帰ってほしい。

事務渉外局

 JCは成長の機会が無数に転がっている団体である。しかしながらその機会を自分にとって必要な機会であること、どのような機会であるかとらえることが視野を広げ、知見を得るために重要なことである。本年は全国大会福岡大会を控えており、 つくしJCも大会運営に関する協力を行う機会を得ると考えられる。また、京都会議やサマーコンファレンス、ブロック大会等その他の大会でも、意義・目的・内容をしっかりと伝えることで多くのメンバーが視野を広げることが出来ると考えている。各種大会に対する情報収集を一元的に管理し、全国大会への連携の窓口として、メンバーの大会への参画を先導することで、多くのメンバーへの機会の提供を進めてほしい。

 併せて、LOM内の出向者が適切に自身の経験をメンバーに伝えられるようにまとめ、また日々の議案構築、会議運営内でのコンプライアンス力向上のためのチェックを行い、ルールを順守する意識をLOM全体に波及していきたい。

総務例会委員会

 総務とは会社において、ルールを作り、組織が円滑に回るように環境を整えていく、いわば根幹の部署ともいえる。すべてのメンバーにおけるJCにおける活動のベースは総会や例会にあり、総会では法人格の社員として、一人ひとりが持つ意思決定がLOMを動かす部分になるし、例会での一挙一動がLOMの雰囲気を作り上げるものだと考える。

 JCでの会の運営に携わることや、そこに参加することが教養ある健全な経営者における健全性を養える機会となることから、まずは会における一つ一つの意味や意義をしっかり理解し、メンバー全員が認識をして、その通りの行動をしていく必要がある。そのことを伝えていく主体として、会の設えと同時に一挙一動の意味を理解し発信する手段を練っていってほしい。例会においては、各委員会に例会担当を置き、例会運営に関わるメンバーを多くする機会の提供など例会へのメンバーの参画意欲の向上策を多く取り入れ、ブラッシュアップを図りながら日々進化してい く例会を作り上げてほしい。

持続可能経済確立委員会

 50周年運動方針の策定から現在まで、つくしJCでは、魅力と経済の活性化を目指したまちづくりの事業を展開し、筑紫地区の中に多くの協力者とまちづくりに参画する当事者を徐々に増やしてきた。そのまちづくりを大きなものとし、より当事者を増やしていくためには、地域課題に目を向けつつ、外的要因に対応していく一つの大きなテーマを持ったまちづくりに変化していくことが必要である。そのテーマが浸透し、自分にもできることがあると多くの人が思うことが、まちづくりの当事者を増やすことにもつながる。

 世界各地の紛争に端を発する現在の不安定な経済状況や、人口減少時代と言われる日本においても、地球温暖化を中心とした環境問題への対応は目標値を定められている不変のテーマであり、世界全体で取り組むべき課題ともいえる。その一方で、筑紫地区における環境問題への対応には濃淡が分かれている状況である。

 筑紫地区において新しい地域経済をデザインし、地域内の経済活動を発展させていくつくしJCにおいて、次のテーマとして挙げられるのは地域内の経済循環を作りつつも、地域特性を活かし、環境問題を中心とした社会課題の解決に即す運動を取っていくことではないだろうか。現在、ローカル版SDGsと言われる地域循環共生圏など、地域内の経済循環をメインとしながら環境への配慮を両立させていく概念が提唱されており、その中には一人ひとりの少しの行動が大きな動きに繋がっている。

 多くの知見を活用しながら、筑紫地区の一人ひとりができることが、地域内の経済を循環させ、その上で社会課題の解決にも繋がるという意識を高めていき、筑紫地区の経済を持続可能なものにする。私たちの住み暮らす地域に対し、その示唆の高まりを求める運動を展開していきたい。

 つくしJCのまちづくりが、より幅広い視野を持った形となり、少しの力で参画できると思う方を増やす1年となることを願っている。

新世代コミュニティ委員会

 地域づくりの本質は世代間の交流とともに自助、公助、共助の観点から、お互いに気に掛けあうことにあると考えている。その仕組みは昔の地域では明確な形ではないにしろ存在していたが、核家族、少子化、そして子供に関する防犯意識により世代間の交流というものが懐疑的な状況となり世代間の断絶を生んでいる。

 昨年、つくしJCにおいては子育て支援を中心とした地域コミュニティの強化として、地域企業の関与を目指し運動を行った。従来であれば、親、子、孫の世代を踏まえて世代間コミュニティという認識があるが、より効果と活動を高めていくために、地域企業の関与と地域の中での継続的な地域を担う人財の輩出を目指し、地域企業だけでなく、次代の地域を担う世代の対面でのコミュニティへの関与を進め、新たな地域内の人的交流の確立を目指したい。

 実際に、次代の地域を担う世代が、実際のコミュニティに参画し、協議体のサポートを得ながら、自身のアイデアをその活性化に活用する。そして、地域の企業が自身の持てる力を地域の人々に対し発揮することで、次世代が地域に対して期待できるような、新時代のコミュニティ像を作っていき、その活性化を図る運動を展開したい。

 その実例をもち、筑紫地区内にコミュニティ活性化のアイデアが広まっていけば、筑紫地区のひとは今まで以上に繋がっていくと考えている。

 また、子育て世代、そして次代の地域を担う世代がともに継続的に人は育つと言う意識を持つことで、よりよい地域とひとにつながっていくはずだ。

会員拡大委員会

 JCが継続的・発展的に活動していくためには、団体や個人とパートナーシップを構築するだけでなく、継続的に多くの地域の人材を実際に仲間としてひきいれていく必要がある。そのために拡大活動というのは1年中行われているし、メンバー全員が取り組む毎年必ず行われているいわば一番歴の長い事業といえよう。

 JCの拡大は営業に例えられるが、その営業結果を多く手に入れるためには全員が行う意志を持つことが重要であり、全員が営業マンとして進んでいくために必要なのは進め方の共有と情報である。今まで引き継がれてきた紹介者ベースでの拡大情報だけでなく、筑紫地区の企業の情報を網羅した上で、熱意を伝えるべき対象者を改めて全員で考え出す仕組みを構築したい。熱意をもって人と逢う今まで持つ拡大活動の重要さに加えて対象者に関する情報と戦略を持った拡大活動がより効果的であるからだ。その旗振り役、そして企画調整担当として、拡大活動実績の共有と 横展開を行う役割を期待したい。

 更に仮入会に導くだけでなく、仮入会から本入会に導くためのオリエンテーションは、仮入会者同士お互いを認識する場でもあるから、本入会までのステップとして重要な位置を占めるためより効果的な形を模索してほしい。

企業力向上委員会

 現在、日々様々な技術革新が起こり、仕事におけるネットの活用は当たり前、更にはAI技術の発達が進む時代と共にコミュニケーションの方法の多様化により世界がより近くなった時代と言える。その影響は私たちの仕事観や企業観、何を優先するかという価値観にも大きく響いている。

 つくしJCにおいては、しごとのアプローチから筑紫地区の企業と共に新しい働き方を進める運動を展開してきたが、本年は私たちメンバーの企業はしごとを創り出す側であることを再度認識した上で、今まで連携してきたパートナーを活かしながら人材採用を含めて新しい取り組みを生み出し、企業自体の価値を高めていく行動を取っていきたい。

 併せて、観光地を抱えることによるインバウンドによる外需を活かした筑紫地区の経済循環、日本全体のトレンドとしての外国人労働者の受入れ強化といった観点から、しごとの面で筑紫地区の企業にとって国際的な視野を持つことも重要であると言える。

 他の青年団体では得られない、国際的ネットワークを有するJCIに所属するつくしJCには国際的視野に触れる機会が多く、対面だけでなく、WEBを通じてもできるというコミュニケーションの多様化により、私たちが国際的な意識を培っていくのは容易になったと言える。国際に対する意識を醸成するために、本年は筑紫地区内においてどのような団体と連携を取ることがよいか、どのように海外と交流を取ることが出来るかについて考え、筑紫地区の1,500年来の国際都市としての復権を担っていくプロセスを踏んでいく一助としたい。

 しごと及び国際の観点双方からメンバー個々の企業が生み出していく新たなしごとの実績を集めることにより つくしJCの価値が向上し、新たな展開を模索する共感者も増えるはずだ。

教養ある健全な経営者育成委員会

 私たちつくしJCメンバーが目指すものは先述の通り教養ある健全な経営者である。JCの日々の活動においても、全ての側面でスキルアップを図る機会はあるが、日々の活動では得られない、戦略・会計など経営における実務としてのスキルアップを図り、経営者としてのステップアップとメンバー内での意識共有を行うにあたって、当委員会には先導者としての役割を求めたい。

 現在までの3年間では教養ある健全な経営者へとなるための精神を学ぶ機会をメンバーが得ている。その精神を経営者として体現していくために本年度は、上記のスキルを含めた経営者として必要な素養の土台を固めることをテーマにした複数回の例会事業を担っていくことで、メンバー自身の経営者としてのスキルの向上を目指したい。今一度、経営者の基礎として必要な素養を取りまとめながら、自分のものと出来るようにする。更に、従来一人で学ぶところをメンバー全員で学ぶことで、学びを共有し、より効果的にスキルアップを図ることが出来ると考える。

 更に、教える側としてメンバーが講師となり、餅は餅屋としてその知識を発揮する自主的な勉強会を促すスキームを構築したい。行えるようになるために必要になるのは、各メンバーがどのような知見を持っているか、どのような強みを持ち、他のメンバーに教えられるか、ということをしっかり認識できるようになることである。

 メンバーが一緒に高め合い、そして既に持っている知見を皆で共有していくことで、私たちは強くなるし、教養ある健全な経営者となっていける。その結果として私たちが地域を先導する力を持つようになるはずだ。

おわりに

 JCは40歳までで卒業する団体である。その限られた時間の中で私たちが出来ることは、多くの成長の機会を自分のものとしてとらえ、実際に行動することである。学びの機会でもあり、自身の表現の機会が数多くある JC を活用して、組織の力を自分の力に変えていこう。

 その結果として私たちは組織、個人双方で先導する力を得て、地域の中の先導者となっていくのだ。動くこと、考えること双方を求められる団体として、自然と歴史と人間がより調和した、筑紫地区の明るい豊かな社会という景色を見るために、その力を地域に活かす活動を進めていこう。

 

 

基本方針

〇 行動の意義を明確にした組織運営と内外広報

〇 自主的な郷土の認知向上

〇 筑紫地区全域を網羅する会員拡大

〇 教養ある健全な経営者を目指すための各種研修

〇 持続可能経済構築運動の推進

〇 新世代コミュニティ確立運動の推進

〇 しごとを創り出すための対内推進

〇 公益社団法人日本青年会議所への出向者支援

〇 公益社団法人日本青年会議所の協働運動への参画

〇 九州地区協議会への協力と出向者支援

〇 福岡ブロック協議会への協力と出向者支援

〇 各種大会への積極的な参画