理事長紹介・スローガン

理事長所信

2023年度一般社団法人つくし青年会議所第52代理事長 吉田壮一郎

 

はじめに

 一般社団法人つくし青年会議所(以下JCIつくし)は、現在の我々の活動エリアである旧筑紫郡(筑紫野市・春日市・大野城市・太宰府市・那珂川市)の市制移行に際し、民意を置き去りにした政策実現に危機感を感じた青年たちが起こした署名活動に端を発していると伺いました。そして、その青年たちの行動が青年会議所の綱領にある「青年としての英知と勇気と情熱をもって明るい豊かな社会を築き上げよう」という想いをはじめとする青年会議所の理念に繋がるという事から1972年に様々な方たちのご協力のもと「自然と歴史と人間との調和~つくしは一つ~」という設立スローガンを掲げ誕生しました。

 そして、その志を胸に51年に亘り、多くの諸先輩方が筑紫地区を明るい豊かな社会に導くために数々の運動を展開され、積み上げられてきた信頼があるからこそ、ここまでJCIつくしの歴史が繋がってきたという事実を決して忘れてはならないと思っています。

 そして現代、社会基盤を揺るがすほどのショックを与えた新型コロナウイルス感染症の影響は色濃く、共存する状況に入ったとは言え予断を許さない状況にあります。この忌むべき新型コロナウイルス感染症を目の前に「人に会うこと」「人と繋がること」が自分自身にとってどれだけ大切な事だったのかを考えた方も少なくなかったと思います。私たちが目指す明るい豊かな社会とは、人と人が繋がる中で、互いの個性を尊重し合いながら、大切な人たちが住まうこの街を豊かに、そして次代へと繋いでいこうとする社会だと思います。この前提に立ち、改めて気づいた「人と人が繋がる」大切さを筑紫地区内に広げていきながら、一人でも多くの皆様と共に、筑紫地区を明るい豊かな社会へ導く運動を展開していく必要があると強く感じています。その為に2023年度は、まずは我々から確かな一歩を踏み出し、明るい豊かな社会に「共鳴」する人を増やす運動を展開できればと考えております。

人と人が繋がる明るい豊かな地域社会の実現に向けて

 対岸の火事のように眺めていた危機が、日を追うごとに身近になり、危機感を募らせていった2020年。あの当時を振り返ると、こんな状況でもJCに行かなければならないのかと家族や会社の者たちに言われた言葉が今でも心に浮かび上がってきます。しかし、あの当時、自分が担っていたポジションを考え、歩みを止めるわけにはいかないとその場を後にした日の事を今でも忘れません。それと同時に、あの時私が手掛けていた「医療従事者支援」のために差し上げた数々の電話で伺った、隣町まで買い物に行かなければならない現状や、顔を隠して送り迎えしている状況、生まれたばかりの子どもと離れ離れで暮らさなければならない状況など、医療現場の生の声は今でも心に刻まれ、そして、微力ながら支援に動いている我々への感謝を頂いた時のお話は今でも私の支えになっています。

 みんなが大切なものを必死で守ろうとしていたあの時に、もしも信頼できる情報があったなら、それぞれの行動は違っていたと思います。現在のような消毒のレベルやマスクの着用範囲、ウイルスの活動範囲などの情報が入ってきていたら、最前線で戦い続けて頂いている医療従事者の方たちを悲しませるような言動や行動を控えたと思います。このデジタルデバイスの進化により加速する超情報化社会に於いて、信頼できる「情報」源というのは非常に価値が高いものだと思っています。私たちは、これまでの青年会議所活動に於いて、我々と同じように地域をより良くするために奔走する方やNPOを立ち上げ特定の分野を磨き上げている方など、産学官問わず様々なプロフェッショナルな方たちと繋がりを持たせて頂きました。その一人ひとりが持つ「情報」はどれをとっても“まちを想い、人を想い”育まれたものだと感じています。また、地域のプロフェッショナルという面で考えると、その地域に働き・住み暮らす我々も活きた情報を持ったプロフェッショナルの一人だと感じています。そんな「情報」を新しい地域経済をデザインするために取り組んでいる「まち・ひと・しごと」のそれぞれの分野で収集し地域のための活力に変えていく事が、一人ひとりが地域社会を担う担い手として明るい豊かな社会の実現に参画できる土壌を育む確かな一歩になると信じています。

これからのJAYCEE 「教養ある健全な経営者」を目指して

 私たちは、筑紫地区が明るい豊かな社会に向けて日々前進をしていけるように、まず自分たち自身が何を目指すべきなのかを明確に定義し自己研鑽を積んでいく為に、2020年にインナーブランディングとして「教養ある健全な経営者」を目指し、明るい豊かな社会を目指していくという志を掲げました。この志に立ち返り、人と人が繋がる明るい豊かな社会の実現に向けて進んでいく為には、それぞれの身近な方たちの理解が必要不可欠であり、その方たちの理解の上で、我々は活動を続けられているという事を決して忘れてはならないと思っています。だからこそ、我々はJC運動・活動を、一番身近で我々の支えになって頂いている方たちに「理解」を求め、我々の運動・活動を「共鳴」して頂く人に変えていく必要があると思っています。もし、この方たちに「理解」が得られなければ、運動・活動を続ける事もできませんし、身近な人が賛同しない運動や活動を地域の皆様が「共鳴」して頂くのは難しいと思うからです。だからこそ、身近な人たちの存在を常に感じながら、その人たちが働き・住み暮らすこの街の未来を案じ、良い運動・活動を展開しようと日々努力を重ねていく必要があると思います。それが地域を明るい豊かな社会へ導く第一歩であると思いますし、一人ひとりを教養ある健全な経営者に導く確かな一歩だと確信しております。

自身の成長・LOMの成長に向けて「出向」の機会にチャレンジするという事

 日本には我々のような青年会議所(LOM)が692LOMあり全国で約33,000人が、それぞれが担当する活動エリアを明るい豊かな社会へ導くために活動しております。そして、そのLOMとは別に、活動する地域を含む県(ブロック)や九州全員で活動する組織(地区)、日本全国を見る組織(日本青年会議所)、各国の青年会議所が連携する組織(JCI)が存在します。そこには、それぞれのLOMから推薦された人たちが所属し、県や地域、日本全土、世界規模にまたがる社会課題の解決に努めています。まさに、志を同じくする人との繋がりを創る絶好のチャンスです。また、担当する社会課題に対して出会う人もLOM内での活動とは一味違います。例えば、事業規模によっては、時の総理や今を時めく世界規模の経営者など様々な方たちにお会いする機会を得る事もありますので、各人のビジネスの機会に直結する可能性は計り知れません。それぞれの活躍したいフィールドに合わせ、LOMで得られる機会と共に是非「出向」をして頂きたいと願っております。

また、皆様が出向を通して得られた「学び」はLOMでの活動にも新たな視野をもたらします。そして、出向で得られた「知見」や「技術」「人の繋がり」はLOMの発展にも寄与頂けます。LOMの発展の為にも全力でサポートさせて頂きますので、一歩を踏み出す事で得られる多くのチャンスを掴んで頂ければと思います。

2023年度の組織運営について

 2023年度は、1つの会議体と6つの委員会で組織を構成致します。まずは、組織強化を担う3つの委員会はインナーブランディングとして掲げる「教養ある健全な経営者の育成」を目指すために各委員会がそれぞれの会議や活動にどのように取り組むべきなのかを整理し発信すると共に、展開される様々な対外的な運動や活動が個人の成長や組織力向上に繋げられるようにしていきたいと考えています。次に、対外的な運動を展開する3つの委員会は、地域の様々なプロフェッショナルな方や団体、各市行政との繋がりを以て、一人でも多くの人たちが、明るい豊かな社会の実現に向けた運動に「共鳴」して頂けるような活動を展開したいと考えています。そして、1つの会議体は地域の中長期ビジョン「まち・ひと・しごと総合戦略」と我々が展開する「まち・ひと・しごと」に関わる運動を繋げ、より大きな力に変えていく活動を通して、組織力の強化に努めて頂きたいと考えています。このそれぞれが担う目的を明らかにすることは、それぞれが行う活動が大きな1つの目的に繋がっているという事を意識して頂くと同時に、一致団結して目的達成に向けた機運を高める事に繋がる事を願っています。そして、大きな目的に向けて共に活動することで、JCの根幹である「人が人で磨かれる人財育成」に拍車をかけ、切磋琢磨できる環境づくりに寄与出来ればと思っております。1年という期間は短いですが、その年に出会う人や活動が、後のそれぞれの人生に影響を与え、大きな飛躍に繋がる事を心から祈念しております。

教養ある健全な経営者の育成と組織力強化を目指す委員会

■総務インナーブランディング委員会

 これまでもJC運動・活動を行う基盤を作ってきた総務委員会には「教養ある健全な経営者の育成」という新たなミッションを加え、総務インナーブランディング委員会として、新型コロナウイルス感染症の影響により「会う」ことの重要性を再確認してきたこの2年間を糧に「学び」と「繋がり」に重点を置いた「会う」機会の質の向上を担って頂きたいと考えています。まずは「学び」の機会です。例会とは何を伝え、何を持ち帰ってもらう場所なのか、ここに注目し一つ一つのコンテンツを見直すと伝えるべき内容が変わってくるような気がしています。通例に捕らわれることなく、しかし変えてはいけない根幹の部分を見定め、教養ある健全な経営者が集う例会や総会がどのようなものかを考えながら様々なチャレンジをして頂きたいと思っています。次は「繋がり」についてです。コロナ禍の中で失われてしまった交流の機会もコロナとの共存が進む中で少しずつ増えてきたように感じます。月1回の例会という機会がその場に於けるメンバー同士の交流の機会になる事はもとより、会っていない間の互いの成長を感じられるような取り組みや、次に会う機会を期待させるような場作りを行って頂くことで、年間を通じて切磋琢磨できる「繋がり」を創造できるのではないかと感じています。この二つの「学び」と「繋がり」を意識した取り組みを行う事で、それぞれのメンバーが行うJC運動・活動に於ける成長の機会を支える根幹となり、インナーブランディングとして我々が標榜する「教養ある健全な経営者」への確かな一歩になると信じています。

■会員育成委員会

 2021年度から取り組んでいる1つのテーマに対して連続した学びの場づくりを行う例会事業により、社業のみならずJCに対しても好循環を生み出している会員育成事業は賞賛に値すべき効果を上げていると感じています。2023年度はこの連続した「学び」と対外的な運動で取り組んでいる地域との「繋がり」をビジネスに転用する事に関して見識を深めたいと思っています。加速度的に進む超情報化社会に於いて、DXやIoTによってビジネスが躍進を遂げている企業が少なくない中、このスピードは一層加速していくと考えられます。また、人口減少に端を発する働き手の不足や様々な問題が加速していく事を考えると、これまでのように自社だけのリソースではスピードに乗り切れない恐れが出てきています。政府もまた、この加速するスピードに合わせシェアリングエコノミーの推進や自社に足りない力を他社から借りる事でビジネスの発展に繋げるオープンイノベーションの推進やビジネスマッチングを推進する事で日本を支える中小企業の発展を狙っています。このような状況の中で、新しい地域経済をデザインするという運動方針を掲げ活動している我々のJC運動・活動自体が、それぞれのビジネスの機会に生まれ変わるような発想が出来れば、地域発展の機会をビジネスの機会に転用できるのではないかと考えています。また、JCという機会を最大限活用する為には、JCの中での繋がりにも着目する必要があると考えています。それはLOMで行う事業や例会という機会に留まる事無く、多くのメンバーが互いを知り、互いに学び合い、それぞれの発展や人生を豊かにする事に向けて、より良い人間関係を構築できるような取り組みを行う事で、それぞれの成長を促進していくと考えています。これは新入会員についても同様だと思います。多くのメンバーと交流し学びを得られる機会を創出する事で、入会して良かったという想いが強くなりJC運動・活動への意欲が向上していくと思います。JCは単年度制ですが、人間関係は1年で終わりというわけではありません。JCという機会を通じて得られた「繋がり」が、それぞれの成長と発展の機会になることを切に願っております。

■会員拡大委員会

 近年の会員拡大に於いて、新たな取り組みとして行っている、銀行や地域の企業を通してJCを知って頂く動きや、事業を通してJCを知り、その後知り合いを通してJCに入会する動きなど、JCIつくし自体が「入りたい組織」へと変化してきているように感じています。その動きをさらに加速させていくために、これまでの拡大活動と合わせて、各委員会が行う活動の中で意図的に「20歳~39歳までの対象者」を募り、JCの活動に導けるような取り組みを、委員会を横断して取り組んで頂きたいと思っています。そうする事で、事業や活動を通してJCの可能性を感じた方たちを導いて頂きたいと思っていますので、対外的な広報と合わせて取り組んで頂ければと思っております。また次年度は、各委員会の活動に於いて、様々なプロフェッショナルの方や団体の方たちと多く出会う機会があると思います。その機会を拡大の機会に変え、JCに「共鳴」する人を増やし、その中からも入会に導いて頂ければと思っております。そして、その繋がりをより深くするための異業種交流会や団体間連絡会議の設営なども含め、LOM一丸となった会員拡大手法の研究を深めて頂きたいと思っています。前述の活動と合わせて、他団体のメンバーや市の職員が他のLOMでどのような入会形態にあるのかも調査し、各団体や行政と繋がりを強める上で最適な入会の形を模索して頂きたいと思っています。とあるLOMでは、推進したい運動に合わせて市の職員や団体職員を単年度限定で入会させる取り組みを行い、職員のモチベーションアップに繋げていると聞いたことがあります。全国の692LOMには、我々の知らない拡大手法がたくさん眠っていると思います。新入会頂くメンバーの皆様は、LOMのこれからを支える大切な存在です。全国の事例の中からヒントを見つけ、様々な活動に取り組み、より多くの仲間が集えるLOMにするべく尽力いただきたいと思っています。

明るい豊かな社会の実現に向けて「共鳴」する人を増やす運動を担う会議体と委員会

■中期ビジョン連携会議

 明るい豊かな社会とは、JC宣言の中に「“輝く個性が調和する”“持続可能な地域”」と書いてあります。それを筑紫地区に置き換えると、筑紫地区に働き・住み暮らす人たち一人ひとりが持続可能な地域の為に協力し合い、その実現に向けて笑顔で活動している未来が見えてきます。そして、我々JCIつくしは、50周年の運動方針として「新しい地域経済をデザインする」を掲げ、「まち・ひと・しごと」の3つの分野に於いて、筑紫地区が持続可能な地域になるように、筑紫地区で働き・住み暮らす人たちを繋げていく運動を展開しています。一方で、各市には地域の未来を見据えた中長期戦略「まち・ひと・しごと総合戦略」があります。同じ街を想い建てられたこの2つのPLANを見比べ、我々が注力すべきポイントを探していく事で、明るい豊かな社会へ確かな一歩を踏み出せるのではないかと考えています。そして、これは単年度制という特性を持つ青年会議所於いて、中期ビジョンという具体的な目標値を策定する事は、運動をより効果的に持続的に行っていく上でも、また50周年運動方針として掲げる「新しい地域経済をデザインする」運動を推進する上でも、非常に有用だと考えています。単年度制という発展と成長の機会を多く享受できるシステムはそのままに、確かな一歩を刻み続けるための指針を描いてほしいと思っています。そして、2023年度展開される「まち・ひと・しごと(くらしごと)」の3分野と中期ビジョンで掲げる具体的な目標値をリンクさせる事で、LOM全体が同じ方向を向きながら筑紫地区を明るい豊かな社会へ導いていく事ができると思います。この未来像を地域の皆様にJCIつくしが創り出す「中期ビジョン」として発信する機会を設け、共に地域づくりをしていく機運を高めるような活動を展開頂きたいと思っております。地域は我々だけでは変えられませんが、地域の皆様の意識を明るい豊かな社会に向けるのは我々の大切な使命だと思っています。新しい地域経済をデザインするという方針をより具体化した指針を各分野に設ける事で、我々が何を担っている団体かを筑紫地区の皆様に「理解」頂き共に「推進」して頂く確かな一歩を踏み出して頂く事を願っています。

■まちづくり委員会

 ARTiVERSの構想から2年。人が動いていない場所に「アート」という目的地を創り、人を動かす取り組みから、2022年度は「回遊システムの充実」による太宰府と二日市を繋ぎ「交流人口」を増やす運動を通して地域内の経済活性化に微力ながら寄与出来ているのではないかと感じています。そして、この取り組みを通じて様々な有識者の方たちにご協力頂く中で感じたのは、この街をもっとより良くしたいと願う人たちが、筑紫地区には多く存在しているという事です。その方たちは、それぞれアートやスポーツ、史跡研究や自然環境保全など分野は様々ではありますが、その道の「プロフェッショナル」として観光のみならず、地域経済の活性化や学校教育にも繋がる貴重な知財を有していると感じています。現在、多くの地域に於いて地域経済の活性化に向けて、地域に愛着がある方や地域にルーツを持つ、地域に拠点を持たない「関係人口」を増やしていく事が注目されている中で、定住若しくは常時関係をしているこのような「プロフェッショナル」の皆様は地域の大きな財産だと考えています。このような皆様が有する力を、地域の新たな魅力創出や新たな魅力を活用した地域経済の発展に繋げることが出来れば、これまで取り組んできた観光経済だけでなく、第三次産業を含めた新たな経済発展に向けた動きを加速させる可能性があると感じています。その一方で、このプロフェッショナルの方たちが所属する団体が数多く存在するという事で、団体同士の領域がカニバリゼーションを起こしていたり、団体の特性上、市を横断した取り組みが出来ない事で波及効果の高い活動が出来ていなかったりと、思うような結果に結びついていないという見解もあるようです。これから人口減少を始めとする様々な社会問題が発生する中で、より地域の為に力が発揮されるような体制を目指す事は、筑紫地区を持続可能な地域へ導く、大切な一歩だと感じています。地域の力(人や資源や魅力など)を未来に繋げていけるように、その懸け橋となる事を期待しています。

■ひとづくり委員会

 東京都市圏に人口集中していることが問題視されている中、リニアモーターカーが開通する事により東京・大阪・名古屋を含む超巨大経済圏の誕生に向けた動きが加速する中、地方各地では人口減少問題が深刻化する事が予想されています。その一方で、新型コロナウイルス感染症の影響からか、人生における価値観の変容が見られているという見解もあり、QOL(生活の質や人生の質)の高い暮らしを求めて地方移住への期待が高まっているというデータも取りざたされています。

 このような状況の中、筑紫地区は天神ビッグバンや博多コネクティットなどの影響により2025年まで人口増加傾向にあると見られており、高架化工事などを含め地域の魅力拡大に向け各自治体が力を強めています。しかし、その後は他地域同様に緩やかではあるものの減少に転じると言われており、前述のインフラ整備はもとよりコミュニティ形成による地域への定住意向を高めていく施策が求められています。このコミュニティ形成という側面から、減少する要因の一つである人口流出を考えると、筑紫地区から人口流出が多いのは、筑紫地区と同様にベッドタウンとして成長を遂げてきた糟屋地域を始めとする近隣地域が最も多く、これまで人口増加を支えてきたベッドタウンとしての優位性が薄くなっており筑紫地区特有の魅力の発信とコミュニティ形成が不可欠であると考えられます。一度減少が始まると加速度的に進行していくと言われている人口減少問題は「公助」の減退を生み、今までの当たり前が当たり前でなくなり、気づいた時には取り返しのつかない状況に追い込まれている問題だと言われています。筑紫地区には、設立スローガンにもあるように「自然と歴史と人間が調和する」様々な魅力があります。そして、この街のQOLを高める可能性を持った様々な団体やプロフェッショナルも存在しています。また、生活者として暮らす我々もまた地域の魅力を理解している一人のプロフェッショナルなのかもしれません。QOLというのは、世代によっても捉え方が違うものだとは思いますが、筑紫地区が持続可能な地域になるように、一人ひとりの知恵を力に変えながら、筑紫地区に愛着を持ち、世代を超えてこの地域に住み暮らしたいと思う人を育てていく必要があると思います。そして、この運動の先には、昨今頻発する自然災害の際にも、互いに支え合う「共助」が推進される新たな地域コミュニティが生まれる事を期待しています。

■くらしごと推進委員会

 本年度、地元企業9社と福岡大学・筑紫女学園大学・日本経済大学との取り組みにより大学生が持つ発信力を活用した若年就労人口の増加に向けた取り組みは、SNS上に於いて認知度を上げるための1万回を超える再生回数や入社を希望する方からの問い合わせなどにより効果が出始めていると考えられます。この事業は、本来地域に眠る優秀な人財にフォーカスを当てる事で、地域経済を牽引するリーダーを育成すると共に、地域で「働き・住み暮らす」多様なライフプランの集積を発信する事で、若年就労希望者に対してライフプランの提示を行う活動でありましたが、もう少し踏み込んだ採用活動や「仕事」という点に歩みを進め、対象者である「学生」による「学生」のための企業説明会を中心とした“ヒトコトLab”という取り組みを行いました。このプロジェクトは地域の企業にとっても、それを研究材料として捉える大学にとっても、より良い事業であると感じておりますが、人口減少に転じると予想される地域の現状を考えると、地域への帰属意識やU・I・Jターンを推進し、この街の就労人口を増加させていく必要があると思います。

 その為には、地域からの転出が最も多くなる大学進学や就職前の高校生、転職希望者はもとより、地域環境が良いという点から転入を検討しているクリエイターやエンジニアへもリーチしていく必要があると思います。新型コロナウイルス感染症という厄災によって推進された様々な「働き方」や「暮らし方」は、地方にとって様々な可能性を広げてくれています。この可能性をしっかりと地域経済に反映できるように、この地域での“くらし”と“しごと”を改めて編集し直し、ターゲットにしっかりと届く形で届けていく事で、筑紫地区を明るい豊かな未来へ繋いでいく事を願っています。

結びに

 「共鳴」とは、他人の考えや感情をよいものと感じて、同じ考えを持つようになることと書かれております。SNSを始めとする様々なコミュニケーションツールが進化を遂げる中、人々は、互いの行動に対して「いいね!」と簡単に反応が出来るようになりました。それは、それでとっても良い事だと思います。しかし、本当に「いいね!」と思える行動を大きな力に変え、人を動かし、世の中を変えていかなければ、本当の意味で大切な人たちを守ることが出来ないという事を、私たちは知っています。だからこそ、明るい豊かな社会という途方もなく壮大な夢のような問いに一所懸命に取り組み、その姿や考えに「共鳴」して頂く方たちを増やすことで、それぞれの大切な人たちをしっかりと守れる社会に繋げていきたいと思っています。そして、2023年12月31日。この年を終えるころ、我々が1年間取り組んできた運動の成果を、あなたの大切な人たちが余すところなく受け取り、幸せな年越しを迎える事を心から祈念しております。

 

 

基本方針

〇 未来に向けた運動・活動の展開

〇 地域の基盤となる教養ある健全な経営者の育成

〇 次代に繋げる組織力の向上

〇 全員参画による会員拡大の推進

〇 ひとづくり運動の推進

〇 まちづくり運動の推進

〇 くらしごと運動の推進

〇 公益社団法人日本青年会議所への出向者支援

〇 公益社団法人日本青年会議所の協働運動

〇 九州地区協議会への協力と出向者支援

〇 福岡ブロック協議会への協力と出向者支援

〇 各種大会への積極的な参画